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ユーザーエクスペリエンス(UX)とは?〜UIとの違いから具体事例まで〜

公開日 2019.9.27
更新日 2022.12.19
ユーザーエクスペリエンス(UX)とは?〜UIとの違いから具体事例まで〜

「UX(ユーザーエクスペリエンス)」の重要性が叫ばれる昨今。
そもそもUXって? UIとどう違うの?
この記事では、UXの基本からUXを決定づける7要素まで、具体的な事例を交えて徹底解説します!

そもそもUX(ユーザーエクスペリエンス)とは?

直訳すると、

User Experience = ユーザー 体験

UXとは、「ユーザーが、会社や製品・サービスと接触・利用した際に得られる体験・感情の総称」を意味します。
1990年代半ばにドナルド・ノーマン※氏 が提唱。
ここ数年で爆発的に関心を集めていますが、まだまだ新しい概念と言えます。

※参考:ノーマンさんが設立したコンサル会社のホームページには、「ユーザーエクスペリエンス」は以下のように説明されています
“User experience” encompasses all aspects of the end-user’s interaction with the company, its services, and its products.
https://www.nngroup.com/articles/definition-user-experience/

UXとUI、ユーザビリティーの違い

UXと並んで、UIやユーザビリティーという言葉もよく耳にしませんか。
UIはユーザーインターフェース(User Interface)の略で、ユーザーとサービスの「接触面」を、
ユーザビリティー(Usability)は「使い勝手」を指し、いずれもUXの構成要素の1つ
です。

ECを例にとると、検索窓や買物カゴのデザイン・位置をUI、ECサイト全体の使いやすさをユーザビリティー、ECサイトにアクセスし、商品を検索・比較・購入・受取るまでの一連の流れをUX、といったように区分することができます。
仮にUIが洗練されたデザインからなり、ユーザビリティーの高いECサイトであっても、品揃えが悪く欲しい商品が購入できなければ、UXは良いものにはなりえませんよね。

UIとUXの違い、UI/UXを取り入れるためのポイントについては、
下記の記事をご参照ください。

■関連記事
初心者でもわかる、UI/UXの活かし方とは?

なぜ今UXが重要なのか?

端的に言うと、UXが顧客・リピーターの獲得の是非を決定づけるためです。
技術革新に伴い、類似商品が溢れ、商品自体での差別化が難しくなってきました。
そんな中、UX(ユーザーとの接点及びそこから生まれるユーザーの体験)全体を俯瞰し、改善していくことこそが、差別化に繋がり、顧客・リピーターの獲得を可能とするのです。

再びECを例にとると、即日配送・送料無料が当たり前になりつつある昨今ですが、2007年にAmazonプライムが開始された直後は、会員向け“送料無料・お急ぎ便手数料無料”等のサービスを魅力に感じ、Amazonユーザーになられた方が多くいました。
その後も、Amazonは電子書籍やビデオの無料提供など、プライム会員向けのサービスの拡充を図り、他にはないUXを提供し続けています。

唯一無二のUXを提供している企業・ブランドの具体例

類まれなるUXを提供し続けている事例として、AppleとABC Cooking Studioをみていきましょう。

細部まで徹底的にこだわり抜く“Apple”

世界でトップクラスの時価総額を誇るAppleは、その一挙一動が注目を集め、世界中のファンを魅了して止みません。
それはなぜか。「異常なまでの情熱」をもって商品とユーザーに向き合い、常に高みを目指し続ける姿勢が、商品・店舗、更には、本社に至るまで、さまざまなところに表れ、人々にAppleならではのUXを提供し続けているためです。
iPhoneを例にもう少し詳しくみていきましょう。
最小限に抑えられた操作ボタン、Appleが他社に先駆けて導入したタッチパネルでの操作とカラフルでデザイン性に富んだアイコン…。
これらのUIは、子供にも操作可能なほど高いユーザービリティーを担保しています。
本体は電子機器でありながら、なめらかな曲線や心地よい手触りを備え、更には梱包材である箱や液晶保護フィルムのデザインもこだわり抜かれています。ファンから「Apple製品は、箱を開ける時からワクワクする」と言われるほどです。

料理教室の概念を覆した“ABC Cooking Studio”

一昔前、料理教室といえば「花嫁修業のため通う場所」「セレブマダムが集う場所」…そんなイメージがありました。
この固定概念を覆し、「趣味として通う料理教室」という、いわば新しいニーズを生み出し、若い女性中心に人気を集めているのがABC Cooking Studioなのです。
では、ABC Cooking Studioは昔ながらの料理教室とどう違うのか。
一例をみていきましょう。

従来の料理教室 ABC Cooking Studio
立地・コンセプト プライベートな空間(個人宅やビルの一室) オープン(モールなど人通りの多い場所にあり、ガラス張りになっており外からも中の様子がわかる)
講師 基本、固定 選択制(他スタジオ(講師)のレッスンも受講可能)
生徒数 大人数(1クラス生徒20人 等) 少人数(1クラス最大5名)
コミュニケーション 基本、一方方向(先生→生徒) 双方向を重視(先生⇔生徒)

※参考URL:https://www.academyhills.com/note/opinion/11031801_ABC.html

この他にも、ABC Cooking Studioでは1回500円の体験レッスン(しかもメニューは季節ごとに異なり、インスタ映え抜群!)があり、友人や家族を誘って気軽に参加することができることも特徴の1つです。
最近では男性・子供向けレッスンもますます拡充されています。
ただ料理スキルを提供するだけでなく、モールに立地されたおしゃれなスタジオで講師や友人と、人によっては彼氏や子供と料理を楽しみ、レッスン後はきれいに盛り付け試食を楽しむ…これまでの料理教室ではなかったUXをABC Cooking Studioは提供しているのです。

UXを決定づける7要素

最後に、そもそもUXの良し悪しはどう決まるのでしょうか。前述のようにまだまだ新しい概念であるUXの定義・分析は、今なお進化を続けていますが、ピーター・モービル(情報アーキテクチャの専門家)による7つの構成要素をここで紹介します。

  1. Useable:ユーザーは使いこなせるか?
  2. Findable:商品そのものを、また、ユーザーが必要とする機能を見つけることができるか?
  3. Useful:ユーザーが必要としている商品か?
  4. Desirable:ユーザーが魅力的に感じる商品か?
  5. Valuable:ユーザーが商品に価値を感じるか?
  6. Credible:ユーザーが信頼できるサービスか?
  7. Accessible:ユーザーがその商品にアクセス(入手)可能か?

http://semanticstudios.com/user_experience_design/

これら7要素が互いに影響し合い、UXを作り上げるのです。
これら全てを分析・設計しUXをより良いものにしていくことは、決して容易ではありません。
よって、これらを司るUXデザイナーの役割がますます重要度を増しています。
UXデザイナーの詳しい役割については、是非こちらの記事を参照ください。

■関連記事
職域から考えるUXデザイナーという職業

まとめ

顧客・リピーターの獲得のためには、UIを改善しユーザビリティーを高めていくだけでは不十分な時代となりました。
競合との差別化のため、UX全体を俯瞰し、より良い体験を提供していくことこそが、今最も求められています。
貴社のサービスを弊社に所属するUXデザイナーと共に見直してみてはいかがでしょうか?

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監修者
監修者_丸山潤
丸山 潤
元ニジボックス 執行役員、TRTL Venture Partner、その他顧問やエンジェル投資家として活動

コンサルティング会社でのUI開発経験を持つ技術者としてキャリアをスタート。リクルートホールディングス入社後、インキュベーション部門のUX組織と、グループ企業ニジボックスのデザイン部門を牽引。ニジボックスではPDMを経てデザインファーム事業を創設、事業部長に就任。その後執行役員として新しいUXソリューション開発を推進。2023年に退任。現在TRTL Venturesでインド投資・アジアのユニコーン企業の日本進出支援、その他新規事業・DX・UX・経営などの顧問や投資家として活動中。

Twitter:@junmaruuuuu
note:junmaru228